情報セキュリティ10大脅威|個人が狙われる10の手口と対策

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情報セキュリティ10大脅威|個人が狙われる10の手口と対策

「情報セキュリティ10大脅威」は、IPA(情報処理推進機構)という国の機関が毎年出している一覧です。

名前がいかめしいので身構えますが、中身は「いま実際に多い手口」を並べただけのものです。

ただ、ニュースで「今年の10大脅威が発表されました」と流れても、自分が何をすればいいのかまでは分かりません。専門用語が並んでいて、そのまま閉じてしまう。毎年そうなりがちです。

この記事は、その一覧を家庭の話に置き換えて読むためのものです。

そして、あまり知られていないことが1つあります。この一覧は「個人向け」と「組織向け」の2種類が別々に用意されています。会社の話と家庭の話が、はじめから分けてあるのです。

この記事では「個人向け」だけを扱います。家庭のパソコンとスマホの話です。2026年1月29日に公表された分に基づいています。

目次

結論:個人向けの10個には、順位が付いていません

ここがいちばん大事なところです。

「10大脅威」という名前から、1位・2位……と並んでいるように思えます。組織向けはそのとおりで、順位が付いています。

ところが個人向けは、順位を付けずに五十音順で並べてあります。「あ」から順に載っているだけで、上のほうが危ないという意味ではありません。

順位だと思って読むと、「上から3つだけ対策しておこう」という読み方をしてしまいます。それが一番まずい読み方です。

正しい読み方はこうです。10個を眺めて、自分に当てはまるものを探す。スマホ決済を使っていない人は、その行を飛ばして構いません。

全部に備えようとすると、たいてい何もしないまま終わります。当てはまるものだけ拾ってください。

2026年に選ばれた10個(個人向け)

まず全体を見てください。順番に意味はありません。

手口どういうものか
インターネット上のサービスからの個人情報の窃取使っている会社側から情報が漏れる
インターネット上のサービスへの不正ログイン自分のIDとパスワードで入られる
インターネットバンキングの不正利用銀行の口座から勝手に送金される
クレジットカード情報の不正利用カード番号を盗まれて使われる
サポート詐欺(偽警告)による金銭被害「ウイルスに感染」の偽画面から電話させる
スマホ決済の不正利用〇〇ペイの類を乗っ取られる
ネット上の誹謗・中傷・デマ書かれる側にも、広めてしまう側にもなる
フィッシングによる個人情報等の詐取本物そっくりのメールと偽サイト
不正アプリによるスマートフォン利用者への被害入れたアプリが中で悪さをする
メールやSNS等を使った脅迫・詐欺の手口による金銭要求「動画を撮った」などと脅してお金を要求

10個並ぶと多く見えますが、入口はそれほど多くありません。メールかSMS、画面に出た警告、そしてIDとパスワード。だいたいこの3つです。

自分に当てはまる行を探すときは、こう見てください。

使っているもの見ておく行
メール・SMSを受け取る(全員)フィッシング/脅迫・詐欺による金銭要求
ネットで買い物をするクレジットカード情報の不正利用
ネットバンキングを使うインターネットバンキングの不正利用
〇〇ペイを使うスマホ決済の不正利用
スマートフォンにアプリを入れる不正アプリ
会員登録をしたことがある(ほぼ全員)個人情報の窃取/不正ログイン

ほとんどの方は、ここに挙げた大半が当てはまります。それでも構いません。当てはまる数が多いことと、危ないことは別です。次の章から、実際に手を打つ順番を出します。

誰にでも来るのは、この3つ

10個のうち、使っているサービスに関係なく全員に来るものが3つあります。ここから手を付けるのが早いです。

フィッシング(本物そっくりのメールと偽サイト)

宅配便の不在通知、カード会社からの利用確認、税金の未納通知。形はいくらでも変わります。

見分けようとすると疲れますし、最近のものは見分けられません。理由は2つあります。

送信元の名前は、送る側が好きに書けます。「〇〇銀行」と表示されていても、それは差出人が自分で入力した文字です。封筒に自分で書いた差出人名と同じで、証明にはなりません。

もう1つは、偽サイトの見た目が本物のコピーだからです。画像も文字も本物から持ってきているので、並べても違いが分かりません。

つまり「よく見て見分ける」という対策は、もう成り立ちません。だから、覚えるのは1つだけにします。

メールやSMSの中のリンクからログインしない。用があるなら、いつも自分で開いているアプリやブックマークから入り直す。それだけで、この手口はほぼ効かなくなります。

不正ログイン(自分のIDとパスワードで入られる)

どこか1社から漏れたパスワードを、他のサービスで順番に試される手口です。使い回していると、1つ漏れた時点で全部が開きます。

家の鍵で言えば、玄関・物置・車・実家がすべて同じ鍵という状態です。1本落とすと、全部開きます。落とした場所が物置でも、開くのは玄関です。

しかも、盗まれた鍵は盗んだ人が使うとは限りません。まとめて売られ、機械で片端から試されます。「自分のような人間の情報に価値はない」は、この手口には通じません。相手は誰の鍵かを気にしていないからです。

全部を別々にするのは大変なので、順番を決めてください。メール、ネットバンキング、通販、この3つだけは他と同じにしない。

そのうえで、2段階認証を入れておくと、パスワードが漏れても止まります。設定の仕方は別の記事にまとめてあります。

サポート詐欺(偽警告から電話させる)

ネットを見ている最中に、警告音とともに「ウイルスに感染しています」と全画面で出るやつです。電話番号が大きく書いてあります。

電話をかけると、遠隔操作のソフトを入れさせられ、修理代を請求されます。

覚えることは1つです。本物のWindowsの警告に、電話番号は出てきません。消し方と、本物との見分け方はこちらです。

お金に直接つながる3つ

クレジットカードの不正利用、スマホ決済の不正利用、インターネットバンキングの不正利用。この3つは、気づくのが遅れるほど被害が伸びます。

なおインターネットバンキングの不正利用は、4年ぶりに選ばれました(通算8回目)。しばらく落ち着いていたものが、また増えているということです。

この3つに共通する対策は、防ぐことよりも早く気づくことです。

理由は2つあります。1つは、盗まれる場所が自分の手元とは限らないこと。カード番号は、使った店側から漏れることがあります。自分がどれだけ気をつけても防げません。

もう1つは、届け出には期限があることです。多くのカード会社や銀行は、補償を受けられる期間を約款で決めています。期限は会社ごとに違うので、いま持っているカードの約款を一度見ておいてください。

気づくのが1か月遅れると、その1か月分がまるごと期限の外に出ることがあります。だから「早く気づく」が対策になります。

  • 利用通知をオンにする。使った直後にメールやアプリの通知が届くようにしておく
  • 明細を月に一度見る。少額の見慣れない請求が、試し打ちのことがある
  • おかしいと思ったら、先に止めて、あとで確認する。カード会社への連絡は24時間受け付けています

スマホ決済だけは、もう1つ見るところがあります。〇〇ペイの類は、たいてい銀行口座かクレジットカードに紐づいています。決済アプリの中だけでなく、紐づけた先の明細も見てください。アプリ側に残らない形で引かれることがあります。

通販でカード番号を入れる場面での注意は、別の記事に詳しく書いてあります。

残りの4つも、ひとことずつ

サービス側から個人情報が漏れる

これだけは、自分では防げません。漏らすのは自分ではなく、使っている会社のほうだからです。

だからこそ、漏れた後で被害が広がらない形にしておくのが対策になります。パスワードを使い回さないというのは、そのための備えです。

不正アプリ

スマートフォンの話です。App StoreとGoogle Play以外から入れない。これでほとんど防げます。

「このアプリを入れてください」とSMSやSNSで送られてくるリンクは、ここに当たります。

公式のストアでも、まれにすり抜けるものがあります。もう1つ見るとすれば、入れるときに何を許可するよう求められるかです。

電卓のアプリが連絡先を見たがる。懐中電灯のアプリが写真を求める。こういうものは、中身がアプリの見た目と違うと考えて構いません。

ネット上の誹謗・中傷・デマ

これだけ毛色が違いますが、書かれる側だけでなく、広めてしまう側にもなるという意味で入っています。

災害のときに、古い映像が「いまの映像」として回ることがあります。驚いた気持ちのまま転送しない。これが対策です。

脅迫・詐欺による金銭要求

「あなたのパソコンのカメラで動画を撮った」といったメールが届くものです。ほぼすべてが嘘で、ばらまかれています。

返信せず、支払わず、消してください。返信すると「読む人がいる住所」だと分かってしまいます。

ただし1つだけ、確かめてほしいことがあります。この手のメールには、本文にパスワードらしき文字列が書かれていることがあります。

それが自分の使ったことのあるパスワードだったら、脅しの中身は嘘でも、そのパスワードが漏れているのは本当です。すぐに変えてください。そして、同じものを他で使っていないか思い出してください。

組織向けの一覧から、1つだけ

組織向けは会社の話なので、この記事では扱いません。ただ、2026年版で1つだけ、家庭にも関わるものが入りました。

「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が、初めて選ばれました(組織向けの3位)。

AIそのものが攻撃してくるという話ではありません。入力したものがどう扱われるかと、返ってきた答えを鵜呑みにしてよいかの2点です。

これは会社に限った話ではありません。家庭でも、手紙の下書きを見てもらう、体調の相談をする、書類の中身を貼り付けて要約させるといった使い方をします。入れているものは、会社の資料とそう変わりません。

組織向けの一覧に入ったということは、その使い方が広まったということでもあります。詳しくはこちらにまとめてあります。

家庭でやることは、結局この4つ

10個を全部覚える必要はありません。手口は毎年入れ替わりますが、やることはほとんど変わりません。

  • 更新をためない。WindowsもスマホもアプリもOK。「あとで」を押し続けない
  • パスワードを使い回さない。せめてメール・銀行・通販の3つは別にして、2段階認証を入れる
  • メールやSMSのリンクからログインしない。自分でアプリやブックマークから入り直す
  • 画面に出た電話番号にかけない。本物の警告に電話番号は出ません

この4つが、10個のうちいくつに効くかを見てください。更新は不正アプリと脆弱性に効きます。パスワードは不正ログインと個人情報の窃取に効きます。リンクから入らないことはフィッシングに、電話しないことはサポート詐欺に効きます。

10個に10個の対策は要りません。手口は毎年入れ替わりますが、入口が3つしかないので、塞ぐところも増えないのです。

この4つのうち、いま1つも欠けていないなら十分です。全部やろうとせず、欠けている1つを埋めてください。

やってはいけないこと

上から順に対策しようとしないでください。個人向けに順位は付いていません。上にあるものが危ないわけではありません。

10個を覚えようとしないでください。覚えるのは上の4つで足ります。一覧は「自分に当てはまるものを探す」ために見るものです。

「10大脅威に入っているから」を理由に何かを買わないでください。この一覧は、商品を勧めるために作られたものではありません。上の4つは、どれもお金がかかりません。

まとめ

  • 「10大脅威」には個人向けと組織向けがある。家庭で読むのは個人向け
  • 個人向けに順位は無い(五十音順)。上から3つ、という読み方をしない
  • 全員に来るのはフィッシング・不正ログイン・サポート詐欺の3つ
  • お金がらみの3つは、防ぐより早く気づく(利用通知をオンにする)
  • やることは更新・パスワード・リンクから入らない・電話しないの4つ

参考

この記事は、IPA(情報処理推進機構)が2026年1月29日に公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」に基づいています。原典はこちらです。

情報セキュリティ10大脅威 2026(IPA)

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この記事を書いた人

会社で社内IT(いわゆる情シス寄り)の仕事をしています。
毎日のように「パソコンが遅い」「変な画面が出た」と相談されるので、
その経験をもとに、専門用語少なめでメモしています。

カメラと子どもの写真が好きですが、
凝った撮影テクニックより「どう残すか・どう守るか」派です。

写真をなくしたくない人や、
家族や職場で“なんちゃってPC係”にされている人の
助けになればうれしいです。

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