画面がすっと暗くなって、小さな窓が出ます。上のほうにユーザー アカウント制御と書いてあります。
「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」
「はい」と「いいえ」。それだけです。押していいのかどうか、毎回少し迷うと思います。
出てくるのは、たいていこんなときです。ソフトを入れようとした。設定を変えようとした。更新のお知らせに従った。
そして何もしていないのに、突然出たという場合もあります。この記事でいちばん大事なのは、そこです。
説明を読もうにも、書いてあるのはアプリの名前と発行元くらいです。それで判断しろと言われても、困ります。
正直に書くと、私もつい流し読みで「はい」を押しています。だからこそ、どこを見れば1秒で決められるのかを書きます。
もう押してしまって心配な方は、この記事のいちばん下に「もし、押してしまったら」という章があります。そちらへどうぞ。
結論:見るところは2つだけです
この画面で判断に使えるのは、次の2つです。これで日常のほとんどが決まります。
- いま自分が、何かを起動した直後かどうか
- 窓に出ている質問の文が「この不明な発行元からの」で始まっていないかどうか
順番に書きます。
1つめ:自分が起動した直後なら、出て当たり前です
いまソフトを入れるためのファイル(インストーラー)をダブルクリックした。設定を変えるボタンを押した。その直後にこの窓が出たなら、出て当然です。
この窓は、パソコンの中身を書き換える動きが始まるときに出ます。ソフトを入れる、設定を変える、というのはまさにそれです。
逆に言うと、危ないのは「何もしていないのに、突然出た」ときだけです。ここが唯一の危険信号です。
2つめ:質問の文の書き出しが変わります
ここは、あまり知られていないと思います。「ユーザー アカウント制御」の下に出ている質問の文は、いつも同じではありません。
| 質問の文がこうなら | 意味 |
|---|---|
| このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか? | 作者の身元が確認できている |
| この不明な発行元からのアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか? | 作者の身元が確認できていない |
「この不明な発行元からの」で始まっていたら、そこで一度止まってください。ほかの場所を探す必要はありません。質問の文を読むだけです。
なお、うしろの言い方は「変更を加えること」以外にもあります。「ソフトウェアをインストールすること」「削除すること」「更新すること」と出ることもあります。見るのは、質問の文が「この不明な発行元からの」で始まるかどうかだけです。
作者がデジタル署名(作った会社の身分証のようなもの)を付けていれば、身元が確認できます。付けていなければ、確認できません。その差が、そのまま文章に出ています。
この2つを組み合わせると、こうなります
| 状況 | どうするか |
|---|---|
| 自分で探して持ってきたソフトで、不明な発行元ではない | 「はい」で問題ありません |
| 自分で起動した直後だが、不明な発行元 | 入れようとしているものに心当たりがあれば「はい」 |
| 何もしていないのに突然出た | 「いいえ」 |
いちばん下だけは、迷わなくて大丈夫です。心当たりが無いのに書き換えが始まろうとしているなら、止めて損はありません。
いちばん上には、ひとつ条件を付けました。「自分で探して持ってきた」かどうかです。メールやSNSで送られてきたものを自分でダブルクリックした場合、それは「自分で起動した」に見えますが、中身は別です。身元が確認できているソフトでも、悪いものは作れます。
「いいえ」を押しても、パソコンが壊れることはありません。その動作が始まらなかっただけです。本当に必要なものだったら、もう一度自分で起動すれば済みます。
突然出て「いいえ」を押したあと
止めたあと、もうひとつだけ見てほしいものがあります。その窓に出ていたアプリの名前です。
心当たりのある名前なら、それで終わりです。自動更新など、自分で起動していなくても動くものはあります。
まったく見覚えのない名前だった場合は、その名前を書き留めて、そのまま検索してみてください。正体がすぐ出てくることがほとんどです。
それでも分からない、気持ち悪い、というときはウイルスの検査をしてみてください。やり方はこの記事のいちばん下に書いてあります。
そして同じ窓が何度も出るなら、そちらのほうが問題です。一度断ったのに繰り返し書き換えようとしている、ということだからです。
その場合は、窓に出ていたアプリを消してください。設定を開いて、歯車の設定からアプリ、その中のインストールされているアプリで一覧が出ます。そこから削除します。
見覚えのない名前で、消していいか分からない場合は、消す前に名前を検索してください。それでも判断がつかないなら、ウイルスの検査へ進んでください。
「不明な発行元」だから危険、ではありません
ひとつ、誤解を解いておきます。
署名は有料で、個人が作ったソフトには付いていないことがよくあります。まったく問題のないソフトでも「不明な発行元」と出ます。
ですので、この表示が言っているのは「危ない」ではなく「誰が作ったか確認できない」です。自分が何を入れようとしているか説明できるなら、進んで構いません。説明できないなら、そこで止まってください。
そもそも、そのソフトをどこから持ってきたか。入手先のほうが、この画面より大事なことがあります。

そもそも、何を許可しているのか
ここまで読んで、こう思われたかもしれません。「はい」を押すと、いったい何が起きるのか。
ひとつのたとえで書きます。
ふだんパソコンを使っているとき、あなたは「鍵のかかった部屋の外」で作業しています。文章を書く、写真を見る、ネットを見る。どれも部屋の外でできることです。
その部屋の中には、パソコン全体の仕組みが入っています。ここを書き換えられると、パソコンの動き方そのものが変わります。
この窓は「このアプリに、部屋の鍵を貸していいですか」と聞いています。「はい」は、貸すという返事です。
ソフトを入れるときに毎回聞かれるのは、そのためです。ソフトを入れるという行為が、部屋の中に物を置くことだからです。
貸したあと、どこまでできるのか
ここが大事なところです。鍵を貸すと、そのアプリは部屋の中で何でもできます。「インストールだけ」に限定されるわけではありません。
だから「何のアプリに貸すのか」が問われているのであって、「何をするつもりか」は問われていません。Windowsにも、それは分からないからです。
この窓がアプリの名前を見せてくる理由も、そこにあります。判断できるのは、そのアプリを起動した本人だけだからです。
暗くならずに出た確認画面は、疑ってください
この窓が出るとき、画面全体がすっと暗くなります。ただの演出だと思われがちですが、これは意味のある動きです。
暗くなっているあいだ、Windowsはふだんの画面から切り離された、専用の状態に切り替わっています。そこではほかのソフトが手を出せません。
なぜそうしているのか。ほかのソフトが裏でボタンを押してしまわないようにするためです。あなたが自分で押したときだけ、話が進みます。
ここから、ひとつ言えることがあります。
画面が暗くならずに、いつもの画面の上に確認画面が出たなら、いったん疑ってください。
ただし、ここには例外があります。Windowsの設定には「窓は出すが、暗くはしない」という段階があります。そこにしてあると、本物でも暗くなりません。
もともと暗くならないパソコンでは、この見分け方は使えません。
いつも暗くなっていたのに、今日は暗くならなかった。その変化のほうを見てください。
正直に書いておくと、私はこの窓の偽物を実際に見たことはありません。仕組みの上でそう言える、という話です。
ただ、画面を装って押させる手口そのものは、ほかの警告でよく使われています。そちらは実物を何度も見てきました。見分け方はこちらにまとめてあります。

「面倒だから外してほしい」と言われた話
知人に、こう相談されたことがあります。
「いちいち聞かれるのが面倒。何とかならないか」
この気持ちは、まっとうだと思います。作業のたびに止められて、同じボタンを押す。うんざりして当然です。
その人は、こうも言いました。「会社のパソコンでは出ないのに」と。それには事情があります(あとで書きます)。
私は、外すことはできると伝えたうえで、外すと何が見えなくなるのかを説明しました。
自分が起動していない書き換えも、黙って進むようになります。いまは窓が出るので気づけますが、外せば気づけません。
そこで返ってきたのが、次の一言でした。
「アンチウイルスも入っているから大丈夫。外してほしい」
私は、この窓が出ないようにしました。設定を下げたのではなく、切ったのです。そしてその人のパソコンは、いまもそのままです。
いちばん煩わしかったのは、ソフトを入れるたびに画面が暗くなることだったそうです。
ここが、私には少し皮肉に思えました。暗くなるのは、さきほど書いたとおり安全のための動きです。その安全のための動きが、そのまま「うっとうしさ」の正体でした。
そして、暗くなるのが嫌だという理由で、窓ごと無くなりました。いまその人のパソコンでは、書き換えが始まっても何も出ません。
説得としては、私は負けています。それでも、外すと何が見えなくなるのかだけは伝えました。知ったうえで選ぶのと、知らずに外すのは違うと思うからです。
「ウイルス対策ソフトがあるから要らない」は、成り立ちません
ここが、この記事でいちばん書きたいところです。
結論から書くと、この2つは守っているものが違います。片方がもう片方の代わりにはなりません。
| どちらの仕組みか | 何をしているか |
|---|---|
| ウイルス対策ソフト | 悪いと判定できたものを止める |
| この確認画面 | 書き換えが起きることをあなたに見せる |
ウイルス対策ソフトが止められるのは、悪いものだと判定できたときだけです。判定できなければ通します。新しいものや、まだ知られていないものは、そこをすり抜けます。
いっぽうこの確認画面は、相手が良いか悪いかを判定していません。「いま、パソコンの中身を書き換える動きが始まりますよ」と、あなたに見せているだけです。
ひとことで言うと、ウイルス対策ソフトは「検知」の仕組み、この画面は「通知」の仕組みです。
だから「検知するものがあるから、通知は要らない」は成り立ちません。検知をすり抜けたものが動き出すとき、最後に気づけるのがこの窓だからです。
そしてこの窓を外すと、「安全になる」のではなく「見えなくなる」だけです。ここが、いちばん誤解されているところだと思います。
それでも面倒なとき
外す手順は、この記事には書きません。すすめていないものの手順を書くのは、筋が通らないからです。
そのかわり、ひとつ数えてみてください。この窓は、1日に何回出ていますか。
私の場合、ほとんど出ません。出るのは、アプリを入れるときくらいです。
ふだん文章を書いたりネットを見たりしているだけなら、窓が出る場面はまず来ません。出るのは、ソフトを入れたり設定を変えたりしている日に偏ります。
毎日何度も出るなら、それは窓の問題ではなく、何かが繰り返し書き換えようとしているサインかもしれません。外すのではなく、そのアプリを消すほうが先です(やり方は先ほど書きました)。
回数そのものを減らしたいなら、外す以外にも手はあります。ソフトを入れたり設定を変えたりする作業を、同じ日にまとめることです。
ばらばらの日に少しずつやると、そのたびに止められます。まとめてしまえば、面倒なのはその日だけで済みます。
会社のパソコンで出ないのは、なぜか
先ほどの「会社のパソコンでは出ない」の話です。
会社で配られているパソコンは、管理する部署がまとめて設定していることがあります。その設定しだいで、この窓が出ないようにしてある場合があります。
ただし、それは「無くても平気」という意味ではありません。会社のパソコンには、代わりに別の仕組みが用意されているのがふつうです。
たとえば、そもそも勝手にソフトを入れられないようにしてあります。入れられるソフトが、あらかじめ決められていることもあります。
さらに最近の会社のパソコンには、動きを常に見張って、記録に残している仕組みが入っていることがあります。おかしな動きがあれば、専門の担当者が離れたところから気づいて対応するようになっています。
つまり「窓を出さなくても、別のところで見ている」という状態です。窓が無くても成り立つのは、そのためです。
自宅のパソコンには、その代わりがありません。だから、同じようにはできないのです。
会社のパソコンで困ったことがあれば、自分で設定を変えずに、担当の部署に相談してください。それが正しい道です。
「WindowsによってPCが保護されました」とは、別の画面です
混ざりやすいので、分けておきます。
ダウンロードしたファイルを開こうとしたときに、青い大きな画面で「WindowsによってPCが保護されました」と出ることがあります。あれは、この記事の窓とは別物です。
| 出るタイミング | どちらの画面か |
|---|---|
| ダウンロードしたファイルを開いた | 「WindowsによってPCが保護されました」 |
| 書き換えが始まろうとしている | この記事の確認画面 |
順番としては、先に「WindowsによってPCが保護されました」が出て、進めるとこの確認画面が出ることもあります。続けて2回止められるので、同じものだと思われがちです。
あちらの見分け方は、別の記事にまとめてあります。

もし、押してしまったら
心当たりが無いのに「はい」を押してしまった。そういうこともあります。
まず、落ち着いてください。押したからといって、必ず何かが起きたわけではありません。
確かめるなら、見覚えのないソフトが増えていないかを見てください。スタートボタンを押して、歯車の形をした設定を開きます。そこからアプリ、その中のインストールされているアプリで一覧が出ます。
一覧の上のほうに並べ替えを選ぶところがあります。ここをインストール日にすると、新しく入ったものが上に来ます。身に覚えのない名前が、今日の日付で入っていたら、それが押した結果かもしれません。
気になるなら、ウイルスの検査をしてみてください。やり方は別の記事にあります。結果が何も出なければ、まず大丈夫と考えて構いません。

この窓は、意味を知っている人にだけ働きます
最後に、ひとつだけ書いておきます。
仕事でたくさんのパソコンを見てきましたが、「この窓が出たおかげで助かった」という話を、私は聞いたことがありません。
たぶんみんな、意味を知らないまま「はい」を押しているのだと思います。私も、内容を読まずに押していることがあります。
ただ、それは「この窓は役に立たない」という意味ではありません。
この窓は、意味を知っている人にだけ働く仕組みです。何を聞かれているのか分かっていなければ、ただの通せんぼでしかありません。分かっていれば、心当たりの無い書き換えを止められる、たった一つの機会になります。
この記事を書いたのは、そのためです。次に出たときは、1秒で決められるはずです。
まとめ
- 「はい」は、そのアプリにパソコンの中身を書き換える許可を渡す返事です。だから毎回聞かれます
- 自分が何かを起動した直後なら、出て当たり前です。「はい」で構いません
- 何もしていないのに突然出たときだけ、「いいえ」。ここが唯一の危険信号です
- 質問の文が「この不明な発行元からの」で始まっていたら、一度止まる。ほかを探さなくても、文章そのものが変わります
- 「不明な発行元」=危険、ではありません。署名は有料で、個人が作ったソフトには付いていないことがよくあります
- ウイルス対策ソフトは「検知」、この画面は「通知」。守っているものが違うので、片方がもう片方の代わりにはなりません
- 暗くならずに出た確認画面は、いったん疑ってください。ただし「暗くしない」設定にしてあると、本物でも暗くなりません
- 外すと「安全になる」のではなく「見えなくなる」だけです
面倒に感じるのは、この窓がちゃんと仕事をしている証拠でもあります。1日に何回出ているか、一度数えてみてください。思っているより、ずっと少ないはずです。
